徳原真人のガーデニングABC
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ガーデニングABC

 第54回 同じコンテナで秋を2倍楽しむ

いつになったら涼しくなるのでしょうね。

先月の中旬まで外仕事にはタオルが欠かせなかったのに、お彼岸あたりからめっきり涼しくなってきました。日本の秋といえば、菊と紅葉と実物の植物は必須ガーデニングのアイテムです。
今回は、夏から秋に移って行く時期に実ものを扱ったコンテナと菊を主役にしたコンテナの2つを比較しながら説明します。

秋の実物と言えば、ウメモドキ、マユミ、コムラサキ、ロウヤガキやウンシュウミカンなど和風をイメージする実物の植物があります。 一方でシンジュノキ、チェッカーベリ、アロニア、ツルコケモモ(クランベリー)、ソラナム類のゴシキトウガラシ、フユサンゴなど洋風、和風双方に使える植物があります。
今回はシンジュノキに着目して、これをヨーロッパテイストに創る手順を説明します。

ヨーロピアンテイストのコンテナ

ヨーロピアンテイストのコンテナ

ヨーロピアンテイストのコンテナ レシピ

リンクをクリックすると写真が表示されます。


シンジュノキシンジュノキ
メギメギ
シソアオイシソアオイ

白い真珠色の実を目立たたせるために、シソアオイ、メギを背後やサイドにレイアウトします。
特にサイドや後方にメギのような枝の透いた植物を差し込むと、広がりと奥行き感が生まれ全体に伸びやかに感じられます。

セイロンライティアセイロンライティア

また、セイロンライティアのジャスミンのような白い花を添えて、銅葉の沈んだ色に白が全体に飛び散るように配置します。
真後ろにセイロンライティアを配置すると、赤茶色のシソアオイの間から白い花が見えることで、より奥行き感を演出できます。


ダリアとゼラニウムダリアとゼラニウム

葉物と白の実や花だけだと物足りないので、中心にドワーフ性のダリアを配置します。
ダリアも銅葉の品種を使うと、根占の部分が引き締まって見えます。黒や銅葉のものを手前に使うと、前が窪んで見えてしまいます。そこで、白斑の入ったゼラニウムを3点に配置する事で、鉢の縁部分が広がって裾元の安定感が増します。

キクのコンテナキクのコンテナ

シンジュノキと同じウィッチフォード社のコンテナを使い日本の秋に出てくる臙脂色や黄色、瑠璃色などの植物をつかって洋風とも和風ともいえぬ秋色コンテナを作ってみます。
中心的材料として和キクやノコンギク、キヨスミシラヤマギクにコムラサキ、ノボタンを組み合わせます。 様々な色を組み合わせ、着物の友禅模様を頭にイメージしてレイアウトしてみました。
よく見るとノコンギクとコムラサキとノボタンの紫が微妙に違っています。 ここにブータン産のルリマツリ(セラトスティグマ)を差し込んで植えてあります。 この瑠璃色が入ることでややユニバーサルなデザインテイストになっていると思います。 また、この瑠璃色が済んだ秋色をイメージして、秋の空気感を演出していると思います。

今回は同じコンテナをしようして2つのタイプのコンテナを作ってみました。

かつて浜名湖花博を会場修景のデザイナーの仕事をさせていただいた時に、主催者より「日本の花季節は春の桜に始まり秋の菊に終わる」と言われ、日本人に分かり易く季節感のあるデザインを展開してください、と言われたことがあります。良く考えてみれば当たり前のことですが、特に秋の菊などはガーデニングの世界ではあまり上手に使われて今いような気がします。

私は、催事の幹部の方からこの展示のお題(宿題)を貰って、博覧会の2004年春までの間の2年間くらい悩み、考え続けました。 そして、私は日本人でありながら、典型的な日本の季節の花と色使いがきちんと身についていないんだということに気付きました。

その後、7年間にわたり日本の四季の変化と季節ごとの花の印象を注意深く観察してきました。その途中経過としてまとめたものが「コンテナガーデニング 和と洋の融合」本です。コンテナの側から四季の花季節をまとめ、仲間と供に実証した物です。

季節感ある日本の植物を使いながら、そこによくガーデニングで用いられる洋種、園芸品種の植物を織り交ぜて季節感を演出するやり方は、まさに和と洋の融合で私の典型的な手法です。


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株式会社アイ・アンド・プラス Bloom Field事業部