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第43回 深まりゆく秋を楽しむ |
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いよいよ11月となり、秋も深まってきました。 今年は、少し紅葉が早いのではないかと感じます。東京では11月下旬にならないとイチョウ等の紅葉が見られないのですが、10月の下旬に日比谷公園のイチョウが黄色く色付いていたようです。 徐々に深まりゆく秋の変化を楽しむには、やはり郊外や里山に出てみると良いでしょう。紅や黄色に色づく葉や実の多様さに目をとめ、それが1週間ごとに変化していく様を車の中や散歩の折々に楽しんでいます。 |
![]() 10月下旬の頃の民家の傍らに実った柿の木です。これから霜が本格的に降りる12月上旬までの間、だんだん柿の色が濃くなってゆき、最後はやや黒ずんで行きます。最後は、ヒヨドリか人間に食べられてしまうのですが、いつも私達を楽しませてくれます。 |
![]() 雑木の庭風の植え込みに、そっと挟み込んでおくと秋になって実を付けた時に大変楽しみです。庭木の人気種のハナミズキの実やマユミの実などもお勧めです。 |
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庭木を選ぶ時にまず考えることは、樹形が美しいこと。とかく花の咲く時だけに目がいってしまいがちです。その点ハナミズキやエゴノキやアオダモなどは花も樹形も楽しめて大変重宝です。実の付く時期は初夏ですが、ジューンベリー(アメリカザイフリボク)なども、これらの基準で考えるとお奨めの樹種です。 郊外で暮らしている私は、犬の散歩の途中でこれらの樹木の変化に触れ、次第に感性が豊かになっていくことに気付きます。 設計における植栽デザインを考える時は、やはりこれらの日常の感動的なシーンをどれくらいこころの記憶媒体に溜め込んでいるかがとても大切です。時には、これらを組み合わせたり、前出のロウヤガキのように収まり可能なサイズの植物に置き換えたりしながらデザインを考えていきます。植物のデザインは、植物材料の四季の変化を詳細に記憶していないと、良い設計は出来ません。 皆さんは、散歩の途中で気になった街角の風景や里山の風景などをデジカメにとってストックしておくと良いと思います。小さなコンテナの中の世界を創るも、庭のやや広い空間を創るも、考え方の手順としてはまったく同じです。 10月のコラムで、この自然の風景をいかに取り込むかについては、Design From Natureと言うことでお話をしました。いろいろな場所で、コンテナのデザインと庭の植栽デザインはまったく考え方が一緒であると申し上げてきました。植物は、春・夏・秋・冬といろいろな場面でその植物素材の良さをみせてくれるものですから、非常に奥が深いものだと感じています。 |
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植物を扱う時に注意したい点が園芸品種の扱いです。例えば、カリガネソウの園芸品種で、白斑の美しいカリオプテリスと言う植物が有ります。 カリガネソウの方は秋に花を咲かせる、極めてかぼそい繊細な印象の野草で、雑木の庭の下草などに向いています。半陰地でも成育することから玄関先の植栽などに用いると、しなやかな草の感覚を表現するのに最適です。一方、園芸品種のカリオプテリスは、やや黄色実を帯びた白斑の涼やかな印象から、夏向きの洋風なデザインに向きます。 同じカリガネソウですが、植物の持つ葉や花の印象で微妙に使い分けることが必要です。 |
![]() 近くの公園に散歩に出かけてみてください。アメリカフウやトウカエデなどが東京でも紅葉を始めています。しかし、20メートルにもなる高木を家庭の庭に植えることは無理です。 |
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「園芸ガイド」2009[秋号]に、徳原先生の記事が掲載されています。 特集「寄せ植えで楽しむ 秋色の実ものと草花」です。 デザインの意図や、寄せ植えで楽しめる秋の実も紹介されています。 |