三輪先生のガーデニングABC
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  4. 第27回 斑入り植物
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■第27回 「斑入り植物」

セイヨウヒイラギの一品種 梅雨を迎えて、木々の緑も日に日に濃くなっています。同じ緑の葉でも植物の種類によって色調に大きな違いがありますが、庭やベランダで楽しむ植物の中には、葉にさまざまな斑模様の入るものも多く、このような斑入り植物が全体の景観にいっそうの変化をつけ、明るい雰囲気を作るのに重要な役割を果たしています
斑入り植物はほとんどは自然に発生したものですから古くから知られていて、江戸時代に発展した「古典植物」といわれるものの中には、花の美しさよりもむしろさまざまな葉の斑模様に価値が見出され、大きなブームとなったものが少なくありません。18世紀の前半に、一鉢が現在の価格に換算すると1億円以上で取引されたというカラタチバナをはじめとして、最近では昭和30年代にカンノンチクがブームになりましたが、これらのほかにも、マンリョウ、オモト、ヤブコウジ、イワヒバなど、いずれも花はまったく観賞の対象にならないものばかりです。
緑色部分が非常に少ない不規則な班入りになるコダチクリスマスローズ(Helleborus foetidus) 斑入りという現象は、植物のいろいろな部分に本来あった色素がなくなったり、別の色素が生成されるようになったりして、もととは違う色に見えるものですから、花や茎などでも同様な現象が起きますが、一般に「斑入り」というのはほとんど葉を対象として使われることばと考えていいでしょう。
葉の斑入りで圧倒的に多いのは、部分的に葉緑素がなくなったり少なくなって、その部分が白や黄色に見えるものです。葉緑素が少なくなった分、植物の光合成能力は低下しますから、一般に斑入り植物は緑色植物よりも生育が劣ります。しかしこのことは、せまいスペースしか持てない日本の園芸愛好家にとっては、大きく茂りにくいという点で逆に好都合でもあるわけです。斑入り現象は、自然界のあらゆる種類の植物で起こっているとも考えられますが、人間の目に止まって保護されない限り、ほとんどは生存競争に負けて死滅していると思われます。
八丈島などに自生するハチジョウカンスゲの品種'エバーゴールド' では、このような斑入り現象はどうして起こるのでしょうか。細胞内で葉緑素が作られるかどうかは遺伝子の働きによって決まりますが、遺伝子が働いたり働かなかったりする個々の場合の詳しいことはまだ十分に分かっていません。普通の植物の体は、どの部分も遺伝的には同じ性質の組織から成り立っていると考えられますが、時にその一部に突然変異などが起きて、部分的に性質の違う組織が入り交じっている場合があって、このようなものを「キメラ」と呼んでいます。キメラというのはギリシャ神話に出てくる、頭がライオン、胴体がヤギ、尾がヘビという怪物で、この名前が部分によって性質の違う組織を持っている植物体を表すことばとして使われるようになりました。斑入り植物も多くはこうしたキメラの一種として説明されています。ちなみに、動物の場合は少し定義が違うようです。
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