三輪先生のガーデニングABC
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  4. 第22回 シクラメン

■第22回 「シクラメン」

シクラメンは冬の鉢花としてはもっともなじみの深い種類のひとつです。たいていのお宅には一鉢やふた鉢はあるのではないでしょうか。11月ごろから店頭に並びはじめ、株張りが30cmを越えるような大きなものから、10cmにも満たない小さなポットに植わったものまで、さまざまな大きさのものが生産されています。
シクラメンは地中海沿岸から中東にかけて10数種の野生種がありますが、鉢花としてふつうに見られるシクラメンは、いずれもシクラメン・ペルシクム(Cyclamen persicum)というただ1種の野生種がもとになって改良されたもので、基本的な性質はみな同じです。
品種はたくさんあって、大株に育てて真価を発揮するものから、ミニシクラメンとよばれる小型のものまで、また花色や花型もさまざまですが、見た目にそれほど変わったものは多くなく、ほかの草花に比べると変化はやや乏しい方かも知れません。
花弁の縁が細かく波打つフリンジ咲きや八重咲き、絞りなどの品種は古くから知られていますが、やはり圧倒的に多いのは普通の丸弁の品種です。最近では寄せ植えが普及したことや置き場所の問題などもあって、野生種に近いミニ・シクラメンが多く見られるようになり、さらに耐寒性の強いものがガーデン・シクラメンとして花壇用に売られています。また、シクラメンはもともと香りを持ったものがありましたが、最近はこの性質を強調した「芳香性シクラメン」も見られるようになりました。さらに、まだ色は淡いですが、黄色の品種もできています。
シクラメンの標準的な品種のひとつ'ピアス'
シクラメンの標準的な品種のひとつ'ピアス'。ピンクと白のグラデーションが美しい。
花弁の縁が細かく切れ込むフリンジ咲き
花弁の縁が細かく切れ込むフリンジ咲きは、19世紀の終りごろに現れた系統で、さらに改良が進んでいる。
家庭でのシクラメンの管理のポイントは日光と水です。株が元気なのに花が少なくなって来るのは、しばしば光線不足が原因になっていることがあります。少なくとも2日か3日に一回、数時間は日光浴をさせることを目標にしてください。屋外に出して萎れるようだったら、それは軟弱に育っている証拠です。ひどく萎れるようではしかたがありませんが、多少の萎れはくり返すうちに萎れないようになりますし、その方があと健全に育ちます。
最近は下に水溜のついたプラスチック鉢で生産されたものをよく見かけます。このような株はそういう状態で育てられたものですから、引きつづき下の水溜に水をつぎ足してやるような給水方法をとります。普通の鉢に植えられたものはほかの鉢花同様、鉢土の表面からかん水します。この時、葉の付け根や球根の表面をなるべくぬらさないように、先が細い管状になった水差しを使って、鉢のまわりから鉢土の表面にまんべんなく行き渡るように与えます。
置き場所は暖房などで温度があまり高くならない、なるべく乾かないところを選びます。シクラメンはもともとそれほど寒さに弱い植物ではありません。花が傷んできたら、種子をつけさせないように花茎をつみ取ります。途中で折り取ると残った部分が腐って病気のもとになりますから、花茎を少し横に倒しながらひねるようにすると、つけ根から取ることができます。黄ばんだ葉も同様につみ取ります。
シクラメンの和名に「カガリビバナ(篝火花)」というのがありますが、これは日本に入ってきた初期のシクラメンの品種は、花茎が長くアーチ状に弧を描き、その先に炎のような赤い花をつける様子にちなんだものといわれます。しかし最近は花が株の中心に直立してまとまって咲くものがよいとされていて、そのため栽培農家では常に葉の位置を組み替えて花芽を中心に誘導するという、日本ならではの手間をかけています。
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株式会社アイ・アンド・プラス Bloom Field事業部