三輪先生のガーデニングABC
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  4. 第11回 春を呼ぶプリムラ・ポリアンタ

■第11回 「春を呼ぶプリムラ・ポリアンタ」

色とりどりの花をいっぱいに開いて春を告げるサクラソウの仲間は、世界中の人々から広く愛される花のひとつです。この仲間は北半球に500種以上が知られていて、日本にも伝統園芸植物のひとつ「サクラソウ」をはじめ20種ほどが自生しています。
サクラソウの仲間は植物学上はプリムラ(Primula)属に分類されていて、日本でも古くからおなじみの、いわゆる「西洋サクラソウ」を一般にプリムラと呼んでいます。今回はたくさんの種類があるプリムラの中でも、もっとも花色も豊富で寒さにも強く、花壇植えや鉢花として広く親しまれているプリムラ・ポリアンタ(Primula ×polyantha)のお話です。
プリムラ・ポリアンタは17世紀ごろにイギリスで育成されたもので、ヨーロッパに広く自生する3種のプリムラの交雑から生まれています。この3種はもともと花色が淡黄色や黄色が主体で、そんなに色幅のあるものではなかったのですが、現在では虹の七色すべてを含む、あらゆる色彩を持つ品種群になっています。
日本の市場にも花色だけでなく花型や花の大きさ、草姿など、さまざまなものが出回っていますが、よく見ると花のつきかたが違う二つのタイプがあることが分かります。ひとつは葉の間から細い花梗が何本も出て、それぞれに一つの花がついている、いわゆる一茎一花といわれるもので、このような花のつきかたをするものをイギリスなどではプリムローズ(primrose)と呼んでいます。プリムローズという名前は、もともとポリアンタの親でイギリスではもっとも親しまれている野草の一つでもある、プリムラ・ヴルガリス(Primula vulgaris)の一般的な呼び名で、英文学などにもしばしば登場しています。【写真1】
プリムラ・ヴルガリス
【写真1】 早春のイギリスではいたるところの公園や路傍に見られる、一茎一花のプリムローズ、プリムラ・ヴルガリス(Primula vulgaris)。現代ポリアンタの重要な親のひとつ。
もう一つのタイプは株の中心から1本の太い茎が立って、その先にいくつもの花を傘状につけるもので、このタイプのものをイギリスではポリアンサス(polyanthus)と呼んで区別しています。このような性質は親になった3種の自生種のうち、英名でカウスリップ(cowslip)と呼ばれるプリムラ・ヴェリス(Primula veris)とオックスリップ(oxlip)と呼ばれるプリムラ・エラティオール(Primula elatior)から受け継いだものです。【写真2】

日本ではこのような区別はあまり意識されていず、一茎一花のものも含めてポリアンサス、あるいはポリアンタの名でひとくくりにされています。
プリムラ・ヴェリス
【写真2】 カウスリップ(cowslip)と呼ばれているプリムラ・ヴェリス(Primula veris)。太い茎を伸ばしてその先に傘状に花をつける。ポリアンサスとよばれるグループはこの性質を受け継いでいる。
Bloom Field
株式会社アイ・アンド・プラス Bloom Field事業部