三輪先生のガーデニングABC
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  4. 第5回 日本の秋を彩るヒガンバナ

■第5回 「日本の秋を彩るヒガンバナ」

日本の秋の田園風景を代表する花といえば、第一にヒガンバナが挙げられるでしょう。もう何十年も前のことですが、晴れた秋の一日、筑波山の山麓に広がる黄金色の稲田の中に、真っ赤なヒガンバナの集団と空の青を映した溜め池、それに神社や屋敷林の緑の鮮やかな対比の風景は、今でも強く脳裏に焼き付いています。
ヒガンバナは有毒なことや墓地などの周辺に多く見られること、鮮やかすぎる花の色などから不吉な植物とされることが多く、庭に植えて観賞することはほとんどありませんでした。しかし生活環境の変化につれて、ヒガンバナのイメージも変わりつつあり、最近ではヒガンバナやその仲間のさまざまな種類が、切り花として市場で見られるようになっています。
有毒なために敬遠する人も少なくないようですが、毒性はさほど強いものではなく、古くはその毒のために、野ねずみなどの害を防ぐ目的で植えられた、とする説もあったり、また一方では球根に多量のでん粉を含むことから、食料として利用された事実もあることなどから、毒性について特に神経質になるほどのことはありません。

ヒガンバナは植物分類上はリコリス(Lycoris)属の植物で、この属には20種ほどの仲間が知られています。
分布の中心は中国で、朝鮮半島、日本のほか、一部がインドシナ、ネパールにもあります。
日本ではヒガンバナ(Lycoris radiata)のほか、本州では山間地の林床などで7月ごろから見られるやや地味なオレンジ色のキツネノカミソリ(Lycoris sanguinea)、同じく山間地で人家の周辺などに半ば野生状態で7〜8月に咲く大柄のナツズイセン(Lycoris squamigera)などを目にすることができます(A)
ナツズイセン
(A)7月末から8月にかけて山梨、長野などの山間地を走っていると、美しいピンクで大型のヒガンバナの仲間、ナツズイセン(Lycoris squamigera)がしばしば目に止まります。人里離れたところには見られないことから、古い昔に中国から持ち込まれたものと考えられています。
九州にはもっと種類が多く、10月に入って黄色の花を咲かせるショウキズイセン(Lycoris traubii)や(B)、ほかの地方でもよく植えられていて、ヒガンバナと同時に白い花を咲かせるので、毎年必ず新聞やテレビの話題になるシロバナヒガンバナ(Lycoris albiflora)などいくつかの種類が自生していて(C)、かつては山掘りの球根がアメリカなどに輸出されていましたが、現在では自生のものはほとんど見られないようです。

20種あるこの仲間は花型の違いから2つのグループに分けられています。
ひとつはキツネノカミソリやナツズイセンのようなユリ形の花、もうひとつはヒガンバナに代表される、フリルのある細い花弁が大きくそりかえって、雄しべや雌しべが突出するグループです。もちろん、中間的な花型のものもないわけではありません。
別の視点から、花が終わったあと間もなく、秋のうちから葉を出してくるものと、冬を越して春になってから葉が伸びるグループとにも分けられます。
この仲間に限りませんが、一般に春に葉が出てくる種類の方が、より寒い気候に適応していると考えられています。静岡県の平坦地ではどちらのグループのものでも冬の寒さで葉が傷むようなことはなく問題なく栽培できます。
Bloom Field
株式会社アイ・アンド・プラス Bloom Field事業部